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投資環境:優遇策と人件費

タインホア省に日系企業が投資した場合の優遇策と、ベトナム人を採用した場合の人件費を、ハノイ周辺・ホーチミン市と比べてまとめています。

投資の優遇策 特別優遇の事業 人件費の比較

投資の優遇策

国の制度

項目内容
基本の法人税率20%(法人税法 67/2025/QH15、2025年10月1日施行)
優遇税率10%(15年間)ハイテクなどの新規投資、ハイテクパーク・デジタル技術パーク・経済区での新規投資、社会経済条件が極めて困難な地域での新規投資
優遇税率17%(10年間)裾野産業、自動車製造などの新規投資
免税・減税優遇税率の対象は、4年間の免税と、その後9年間の50%減税。特定の製造分野の新規投資は、2年間の免税と、その後4年間の50%減税。期間は、収益が出た最初の年から数える(最初の3年間に課税所得がなければ、4年目から)
工業団地の扱い新法の優遇の対象に、「工業団地への立地」は含まれないとされる(ハイテクパーク、デジタル技術パーク、経済区は含まれる)。2025年9月30日以前に投資登録証明書(IRC)を取得し、優遇を受けているプロジェクトは、元の期限まで従来の優遇を続けられるとされる
輸入関税固定資産をつくるための機械・設備の輸入関税が免除される(輸出入税法 107/2016/QH13)
土地土地賃料・土地使用料の減免がある(投資法 61/2020/QH14、政令 31/2021/ND-CP)
グローバル・ミニマム課税年間収入が7.5億ユーロ以上の多国籍企業グループのメンバー企業は、優遇税率を受けても、実効税率が15%まで引き上げられる場合がある
関税協定日越EPA、CPTPPなどの特恵関税を使える

出典:法人税法 67/2025/QH15(英訳)の第13条・第14条、JETRO「外資に関する奨励」(2025年9月12日更新)、解説記事(2026年3月21日)、EY(2024年4月17日)。条文の英訳の要約を含み、細かい適用条件は確認していません。

JETROのページは、新しい法人税法の施行前(2025年9月12日)の更新で、工業団地を優遇の対象地域に挙げています。新法との関係は、確認できていません。実際の優遇の可否は、事業内容、投資額、場所、時期で変わります。必ず、税理士や弁護士などの専門家にご確認ください。

「特別優遇の事業」とは(詳細)

ベトナムの投資法(61/2020/QH14)は、優遇の対象を、「投資優遇分野」と「特別優遇分野(ngành, nghề đặc biệt ưu đãi đầu tư)」に分けています。特別優遇分野は、国が特に誘致したい分野で、優遇が最も手厚くなります。

1. 何が対象か

区分内容
特別優遇分野の例高度技術の応用、ハイテク製品の製造、ソフトウェア・デジタルコンテンツ・情報技術の重要製品、サイバーセキュリティ製品、再生可能エネルギー・クリーンエネルギーの製造、新素材・複合材料の製造、重要な機械製品の製造など(政令31/2021/ND-CPの別表の整理にもとづく。一覧の原文は未確認)
投資優遇分野の例自動車・自動車部品、電子部品・半導体、産業用の機械、エネルギー効率の高い製品、鋼材、付加価値の高い製品、研究開発など
投資規模による特別優遇投資額が30兆ドン以上で、登録から3年以内に10兆ドン以上を実行する、特別優遇分野の事業。さらに手厚い優遇の対象になる

出典:政令31/2021/ND-CPの分野・地域の整理(Expertis)、投資法2020の第15条・第16条(VCCI、ハノイ市の法令解説)。分野の一覧と区分は、法令改正で変わる場合があります。2025年に投資法が改正されており(解説)、最新の一覧は確認していません。

2. 土地賃料の免除(政令103/2024/ND-CP、第39条)

土地賃料の免除は、「建設期間」と「その後の期間」の組み合わせです。建設期間は、土地を借りる決定から最大3年で、免除されます。その後の免除は、分野と地域で決まります。

事業の場所・分野建設期間の後の免除
優遇の対象でない地域・分野通常は、なし(建設期間のみ免除)
投資優遇分野の事業3年
社会経済条件が困難な地域7年
困難な地域で、優遇分野の事業15年
特別優遇分野を、特に困難な地域に投資全期間(借りている間ずっと)
経済区内の事業優遇の対象でない事業は11〜15年、優遇分野は15〜19年、特別優遇分野は全期間

出典:クアンチ省の投資案内(2025年10月2日)による政令103/2024/ND-CP第39条の整理。同じ記事の中の表記にあいまいな部分があり(「11年」の対象の書き方など)、条文の原文は確認していません。2025年の政令291/2025/ND-CPで改正されたとの情報もありますが、内容は確認していません。

3. タインホア省で、特別優遇の事業が受けられる可能性

「特別優遇の事業」に当たるかどうかは、事業の内容、製品、投資額、場所で決まり、法令の改正もあります。優遇の可否を前提にした投資計画は、必ず、投資登録の前に、弁護士や税理士、タインホア省の担当部署(投資促進、経済区管理委員会)で確認してください。

タインホア省の制度

項目内容
土地賃料特別優遇の事業は、賃貸期間の全体で免除。通常の事業は、建設期間(最大3年)は免除され、その後も3年から15年免除される。ギソン経済区は、建設期間に最大3年、操業開始後に11〜19年免除される
法人税(ギソン経済区)税率10%を15年間。4年間の免税と、その後9年間の50%減税
法人税(工業団地)標準的な工業団地で、2年間の免税と、その後4年間の50%減税とする報道がある。旧制度にもとづく可能性があり、新法との関係は未確認
輸入関税機械・設備、国内でつくれない原材料の輸入関税が免除される
インフラの支援産業クラスターのインフラ整備への支援は最大200億ドン、山間部の工業生産プロジェクトへの支援は最大20億ドン/件とする報道がある
港湾・物流の支援コンテナ船の運航や、輸出入企業への支援金がある(金額は報道による。詳細は要確認)
優先して誘致する事業2026〜2030年に、173プロジェクト・570兆ドン(約240億ドル)。工業加工製造、インフラ・都市開発、エネルギー・環境、観光・サービス、科学技術、文化・スポーツ・医療

出典:VnEconomy(2026年3月14日)、VietNamNet(2026年3月27日)。省の制度は、報道の要約で、根拠となる決議の番号は確認できていません。

人件費の比較:タインホア省・ハノイ周辺・ホーチミン市

タインホア省は、ハノイ周辺(北部)やホーチミン市より、最低賃金が低い地域です。ただし、タインホア省には、職種別の賃金の調査がありません。そのため、ハノイ周辺とホーチミン市はJETROの調査、タインホア省は求人などで確認できた例を、並べています。

法定の最低賃金(月額、2026年1月〜)

地域月額対象の例地域Iとの比較2027年1月の案
地域I531万ドンハノイ・ホーチミン市の中心部など100%570万ドン
地域II473万ドンタインホア市(Hạc Thành区など)、ギソン、サムソンなど約89%508万ドン
地域III414万ドン(タインホア省には該当なし)約78%445万ドン
地域IV370万ドンタインホア省の、そのほかの地域約70%404万ドン

出典:政令 293/2025/ND-CP(タインホア省の区分)、JETRO(2026年8月3日)。2027年1月は、全国平均7.8%の引き上げ案で、首相の承認を経て公布される見込み。タインホア省の区分は、Hạc Thành区、Quảng Phú区、Đông Tiến区、Sầm Sơn区、Nghi Sơn区などが地域II、それ以外は地域IVと報じられています。

職種別の月額(基本給)

職種ハノイ周辺(北部)ホーチミン市(南部)タインホア省(確認できた例)
ワーカー
製造業・一般工職、経験3年程度
674万ドン
(278ドル)
798万ドン
(329ドル)
日系の縫製工場の初任(等級1)の基本給は495万ドン。手当を含む総収入は650万〜2,000万ドン。FDI企業の労働者の平均収入は615万ドン(2021年)
エンジニア
経験5年程度の中堅
1,260万ドン
(520ドル)
1,501万ドン
(619ドル)
確認できたデータなし(全国のウェブ求人では、機械系エンジニアの平均が900万〜1,800万ドンとされる)
中間管理職
製造業・課長クラス、経験10年程度
2,717万ドン
(1,121ドル)
2,945万ドン
(1,215ドル)
製造業の生産管理の求人は、1,500万〜2,000万ドン。日本語通訳を兼ねる生産管理の求人は、750万ドンから
スタッフ(一般職)
非製造業、経験3年程度
1,932万ドン
(797ドル)
1,840万ドン
(759ドル)
日系縫製の受注管理(マーチャンダイザー)の求人は、1,100万〜1,300万ドン
マネージャー
非製造業・課長クラス、経験10年程度
4,093万ドン
(1,688ドル)
3,726万ドン
(1,537ドル)
確認できたデータなし

ハノイ周辺とホーチミン市の出典:JETRO「2024年度 アジア大洋州・日本投資関連コスト比較調査」(2025年3月)。2024年8〜9月の日系企業への調査で、北部の回答をハノイの値として使っています。米ドルは、同年8月の平均レートで換算されています。タインホア省の出典:Thương hiệu & Công luận(2021年5月26日)、求人(Lễ Môn工業団地)、DigiSource、求人情報サイトの検索結果。求人の掲載日は、確認できていません。

年間の企業負担額(参考)

職種ハノイ周辺(北部)ホーチミン市(南部)
ワーカー4,601ドル5,485ドル
エンジニア8,314ドル10,070ドル
中間管理職(製造業)17,893ドル19,730ドル

基本給のほか、諸手当、社会保障、残業代、賞与などを含む1年間の額です。賞与は、基本給の平均1.6か月分とされています。同じ調査にもとづきます。

読み取れること

タインホア省の職種別の平均賃金は、公的な調査がなく、求人の例にとどまります。採用を計画する際は、人材会社や、すでに進出している企業への聞き取りで、確認することをお勧めします。